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第5話 神殿

last update 최신 업데이트: 2025-06-10 19:30:12

 朝。

 ミカエラの姿は白亜の神殿にあった。

 爽やかな朝早い時間に祈りを捧げることは彼女の日課だ。

 王国では王家に並ぶほど神殿の力が強い。

 神殿で祈りを捧げることは、ミカエラに課せられた義務のひとつだ。

(神殿で祈りを捧げると気持ちが落ち着くわ)

 ミカエラにとっては義務ではあるが、神殿で祈ることは嫌いでない。

 周囲には彼女を取り巻くようにして神官たちが祈りを捧げている。

 跪き熱心に祈りを捧げていたミカエラは、巨大な女神像を見上げた。

 白く巨大な石像は、穏やかな慈愛に満ちた笑みを浮かべてミカエラを見下ろしている。

(女神さま。わたくしをお救いください。そして道をお示しください)

 ミカエラは立ち上がると、隣で同じように立ち上がったエド神官へ話しかけた。

「一緒に祈りを捧げて頂いて、ありがとうございます」

「いえいえ、ミカエラさま。貴女のために祈ることができるのは、我々にとっても幸せなことです」

 エド神官は、七色に輝く不思議な瞳をキラキラさせながら言った。

 彼は虹色に輝く不思議な髪と瞳を持っている。

 虹色の髪と瞳は見た目も美しいが、それだけではない。

 この王国では【守護精霊】というものが信じられている。

 【守護精霊】はキラキラと輝く光として現れ、様々な色を持っているとされていた。

 色により守護してもらえることが違う。

 エド神官の七色に輝く髪と瞳は、全ての守護精霊の色が入っているとされる色だ。

(天使というものがいるのなら、まさにエド神官のような存在なのではないかしら)

 その美しい笑顔を眺めながら、ぼんやりとミカエラは思う。

「此処は、いつ来ても落ち着く場所ですわ」

 ミカエラは心から言った。

 神殿は虚飾に満ちた王宮とは違う。

 太い柱が何本も立ち並び、所々に彫刻の程された白亜の建物は質素というわけでもないが、 かといって虚栄に満ちているわけでもない。

 神のための場所は、どこまでも厳かで尊く、高い精神性を感じさせる清らかな場所であった。

 神殿という実体がありながら神の加護という目に見えないものを得られる場所は、ミカエラにとって、ありのままの心内を吐露できる貴重な場所でもある。

(己の心さえ騙さなければ生きていけない所に、わたくしは住んでいるから……)

 誰が味方で誰が敵なのか分からない王宮で、人間に頼ることは難しい。

 あそこは魔窟だ。

 本心は口にさえしなければバレないというものでもない。

 油断ならない場所で孤独に生きるしかないミカエラに、心休まる時などないのだ。

 しかし神が相手ならば、心の中で思いの全てをぶちまけても悪影響はない。

 たとえそれが気休め程度の効果しかなかったとしても、ないよりはマシだ。

 ミカエラは神殿に来ると、祈りながら神に不満をぶちまける。

 なぜ自分は『愛する人を守る』と、いう異能など持っているのか?

 こんなモノが何の役に立つというのか?

 自分は幸せになれないのか?

 愛されず、愛を知らない自分が、愛する人だけは持てるというのは大きな矛盾ではないか?

 などなど。

 祈った所で答えは得られないが、不満をぶちまけるには充分だ。

 どれだけ苦しいと言っても、痛いと言っても、神は受け止めてくれる。

 心の中で愚痴るくらいは許してくれる。

 だから彼女は、神殿で祈ることが好きだった。

(これが神に縋るということなのかどうかは分からないけれど。此処でしか得られない安らぎがあるのは確かよ。だったら祈るのは、悪いことではないわ)

 それに神殿では、ミカエラは神官たちに歓迎されていた。

 それだけでも王宮とは違う。

「神殿は居るだけで心が安らぎます」

 ミカエラの言葉に、エド神官は笑みを深めた。

「ありがとうございます。ミカエラさまにそう言っていただけると嬉しいです。もっと頻繁にいらして下さってもよいのですよ? 神殿は王国を守るのはもちろん、人々の心に安寧をもたらすための場所でもあるのですから」

「ありがとうございます、エド神官」

 神殿には王家と肩を並べるほどの力があり、神官たちへの国民の信頼も厚い。

 王家としても無下に扱うことはできず、ミカエラが神殿に足繁く通う事は歓迎されるだろう。

(もうじき王妃教育にも一区切りがつくわ。そうなったら通う回数を増やすのもよいかもしれない)

 ミカエラの異能について、神官たちは知らないはずだ。

(でも何かしら察している気がするわ。神に仕える者たちの勘は侮れないもの)

 歴代の王太子婚約者も、神殿に祈りを捧げに来ていたそうだ。

 だが途中で婚約者の方が変わったり、王太子の方が変わったりと忙しかったと聞いた。

 それだけ暗殺が日常化しているのだ。

 殺されないまでも、王太子やその婚約者が倒れるのはよくあることである。

 それが王太子婚約者にミカエラが据えられてからは全く無い。

 王太子が病や怪我で寝込むこともないし、ミカエラが神殿に姿を現さない日もないほど順調だ。

 痩せ細っているミカエラの健康を危惧する声はあるものの、実際に倒れることはないのだから婚約者としての地位を奪うのは難しい。

 高位貴族たちが歯噛みしても、ミカエラの王太子婚約者としての地位は揺らがないのだ。

「ミカエラさまが毎日のように祈りを捧げに来られるおかげか、アイゼル王太子殿下はお健やかにお過ごしです。このまま平穏な日々が過ぎていくことを我々神官は祈っております」

「わたくしも同じ想いですわ、エド神官」

 王太子婚約者の変更がないことで、現在の政権は安定している。

 王太子の変更がないことは、それよりも更に政権の安定に貢献しているのだ。

 神官たちは、理由は分からないまでも、ミカエラに神の恩恵がもたらされていることを疑ってはいなかった。

 ただし。

 例外は、いつも存在しているものだ。

「みな騙されている」

 灰色の髪に青い瞳を持つ副神官は、神殿の隅からミカエラを見据えていた。

 肌色はくすんでいて、他の神官たちとは明らかに違う。

 彼はミカエラを認めていない神官のひとりだ。

「あの女は、悪魔だ」

 憎々しげな呟きは誰の耳にも届くことなく、神殿の奥へと消えていった。

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